水道水質基準と解説
【参考資料:環境省HP、上水試験方法(日本水道協会)、水道水質事典(日本水道新聞社)…etc】
水質基準(51項目)
水道水(浄水)は、水質基準に適合するものでなければならず、水道法第4条により水道事業体等に検査の義務が課されています。
水質基準項目と基準値(51項目)
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区分 | No. | 項目 | 基準 | 解説 | 用途 | |
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健康に関する項目 | 病原生物 | 基1 | 一般細菌 | 1mlの検水で形成される集落数が100以下 | 水道水中の細菌数を把握する指標。塩素注入量が不足したり汚染水が混入すると増加することがある。 | - |
基2 | 大腸菌 | 検出されないこと | ヒトや温血動物の腸管内に常在しており、糞便汚染のないところで検出されることはまれである。 | - | ||
重金属 | 基3 | カドミウム及びその化合物 | カドミウムの量に関して、0.003mg/L以下 | 地殻中に0.2mg/kg存在し、自然界に広く分布している。鉱山廃水、工場排水、下水処理場のスラッジが廃棄された土壌等から河川へ混入することがある。イタイイタイ病の原因物質として知られる。 | 電気メッキ、顔料、電池、ゴム、写真材料、窯業材料、合金 | |
基4 | 水銀及びその化合物 | 水銀の量に関して、0.0005mg/L以下 | 工場排水、農薬、下水等などから自然水中に混入することがある。有機水銀化合物は水俣病の原因物質として知られる。 | 乾電池、水銀塩類の原料、蛍光灯、体温計、歯科用・合金アマルガム | ||
基5 | セレン及びその化合物 | セレンの量に関して、0.01mg/L以下 | 鉱山廃水や工業排水から自然水中に混入することがある。 | ガラス、窯業、半導体材料、光電池、整流器、プラスチック、インク、合金、ゴム、殺虫剤、触媒 | ||
基6 | 鉛及びその化合物 | 鉛の量に関して、0.01mg/L以下 | 地質、工場排水、鉱山廃水に由来して河川水中に溶存することがある。水道水中で検出される鉛は、軟水やpHの低い水において鉛管からの溶出に由来することがあるが、鉛管は近年はほとんど使用されていない。 | 鉛管、板、蓄電池、電線被覆、はんだ、ゴム硬化剤、防錆材料、マッチ、爆薬 | ||
基7 | ヒ素及びその化合物 | ヒ素の量に関して、0.01mg/L以下 | 火山性温泉や鉱山廃水、精錬廃水、染料、工場排水、農薬に由来して自然水中に含まれることがある。特別の発生源がないところでも、微量ながら広範囲に分布している。 | 半導体、合金添加、農薬、殺鼠剤、防腐剤、医薬品、色素製造、ガラス工芸 | ||
基8 | 六価クロム化合物 | 六価クロムの量に関して、0.02mg/L以下 | 工場排水、鉱山廃水に由来して環境水中に溶存することがある。環境中に天然に存在するクロムの原子価は三価のものにほぼ限られ、六価の存在があるとすれば人為起源のものであるとみられる。 | 合金材料、クロムめっき、電池、顔料、皮なめし、釉薬、防腐剤 | ||
無機物質 | 基9 | 亜硝酸態窒素 | 0.04mg/L以下 | ”11.硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素”の項を参照 | - | |
基10 | シアン化物イオン及び塩化シアン | シアンの量に関して、0.01mg/L以下 | 工業排水の混入により水中から検出されることがある。シアン化カリウムは青酸カリという名の毒物としてよく知られている。 | 化学合成工業、選鉱、鉄鋼製造、電気めっき | ||
基11 | 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 | 10mg/L以下 | 無機肥料、腐敗した動植物、生活排水、下水汚泥の陸上処分、工場排水、塵芥の残渣等に含まれる窒素化合物が水や土壌中で酸化・還元を受け、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素となる。 | - | ||
基12 | フッ素及びその化合物 | フッ素の量に関して、0.8mg/L以下 | 自然界に広く分布しており、水中のフッ素は主として地質に由来することが多いが、工場排水から河川中に混入することもある。 | アルミニウム電解、鉄、過リン酸肥料、タイル、煉瓦、硝子繊維、セラミックス、半導体製造、練り歯磨きの添加剤 | ||
基13 | ホウ素及びその化合物 | ホウ素の量に関して、1.0mg/L以下 | 火山地帯の地下水、温泉、工場排水からの混入により水中から検出されることがある。 | 中性子吸収材、硬度増加材、酸化防止、ガラス、陶器、ホーロウ、ペイント、防火剤 | ||
一般有機物 | 基14 | 四塩化炭素 | 0.002mg/L以下 | 水に難溶、有機溶媒に易溶の有機塩素化合物。水分の存在下で分解し、塩酸を生じる。 | フルオロカーボン類の原料、ワックス樹脂、溶剤、洗浄剤、殺虫剤 | |
基15 | 1,4-ジオキサン | 0.05mg/L以下 | 親水性、難分解性で、地下水、河川水、廃棄物処分場浸出水等から検出されることがある。 | 溶剤、洗浄剤 | ||
基16 | シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン | 0.04mg/L以下 | 地表水を汚染した場合は速やかに大気中に揮散する。土壌吸着性は低く、地下に浸透する。地中の有機塩素化合物が還元状態で微生物分解を受けると生成される。 | 化学合成の中間体、溶剤、染料抽出剤、香料、熱可塑性樹脂の製造 | ||
基17 | ジクロロメタン | 0.02mg/L以下 | 地表水を汚染した場合は主として大気に揮散して消失する。土壌に浸透すると吸着されにくく、生物分解されにくいため、地下水を汚染する可能性がある。 | 剥離剤、洗浄剤 | ||
基18 | テトラクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | スラッジ類の廃棄、貯蔵タンクからの漏出、工場排水等により環境中に放出される。地表水を汚染した場合は比較的短期間に消失する。土壌への吸着性は弱く、地下水に浸透して長期間滞留する。 | 脱脂洗浄剤、ドライクリーニング洗浄剤、溶剤 | ||
基19 | トリクロロエチレン | 0.01mg/L以下 | スラッジ類の廃棄、貯蔵タンクからの漏出、工場排水等により環境中に放出される。地表水を汚染した場合は比較的容易に大気に揮散して消失する。土壌を浸透して地下水に侵入すると、安定的な形で閉じ込められるため、長期間にわたり汚染が継続する。 | 脱脂洗浄剤、ドライクリーニング洗浄剤、生ゴム、染料、油脂、溶剤、殺虫剤、香料の抽出剤 | ||
基20 | ベンゼン | 0.01mg/L以下 | ガソリンの燃焼に伴って環境中に放出されることが最も大きな発生源である。水系には工場排水と共に排出されることが多い。 | 染料、合成ゴム、合成皮革、合成洗剤等、多様な製品の合成原料 | ||
消毒副生成物 | 基21 | 塩素酸 | 0.6mg/L以下 | 次亜塩素酸ナトリウムを長期間貯蔵すると、その酸化によって塩素酸濃度の上昇が起こることがあり、特に高温下での貯蔵はその上昇が顕著であるため、温度管理下での貯蔵を行うなど、十分配慮する必要がある。二酸化塩素による消毒処理の副生成物としても生成される。 | - | |
基22 | クロロ酢酸 | 0.02mg/L以下 | 浄水過程において水道原水中の有機物質や臭素及び消毒剤(塩素)とが反応して生成される消毒副生成物。 | - | ||
基23 | クロロホルム | 0.06mg/L以下 | 浄水過程で消毒用の塩素と水中のフミン質等の有機物質が反応して生成されるトリハロメタンの成分のひとつ。生成量は原水中の有機物質の種類と濃度に強く影響される。 | フッ素系樹脂・触媒の原料、溶剤、消毒剤、麻酔剤 | ||
基24 | ジクロロ酢酸 | 0.03mg/L以下 | ”22.クロロ酢酸”の項を参照 | - | ||
基25 | ジブロモクロロメタン | 0.1mg/L以下 | 浄水過程で消毒用の塩素と水中のフミン質等の有機物質が反応して生成されるトリハロメタンの成分のひとつ。生成量は原水中の臭素イオン濃度に強く影響される。 | - | ||
基26 | 臭素酸 | 0.01mg/L以下 | オゾン処理によって消毒副生成物として生成される。臭素イオンが多いほど、反応pHが高いほど多く生成する。 | パン用小麦粉 | ||
基27 | 総トリハロメタン | 0.1mg/L以下 | クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの濃度の総和。 水温及びpHが高い場合に生成量が増加し、塩素の接触時間とともに生成量が増加する。 |
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基28 | トリクロロ酢酸 | 0.03mg/L以下 | ”22.クロロ酢酸”の項を参照 | - | ||
基29 | ブロモジクロロメタン | 0.03mg/L以下 | ”25.ジブロモクロロメタン”の項を参照 | - | ||
基30 | ブロモホルム | 0.09mg/L以下 | ”25.ジブロモクロロメタン”の項を参照 | - | ||
基31 | ホルムアルデヒド | 0.08mg/L以下 | 浄水過程で水中のアミン等の有機物質と塩素、オゾン等の消毒剤が反応して生成される消毒副生成物。 | - | ||
生活利用上又は施設管理上障害の生じるおそれのある項目 | 着色 | 基32 | 亜鉛及びその化合物 | 亜鉛の量に関して、1.0mg/L以下 | 水中への汚染としては鉱山廃水、工場排水等の混入があり、水道の障害としては給水管に使用した亜鉛メッキ銅管の溶出によるものがある。 1mg/L未満であれば水にほとんど異常を与えないが、それ以上になると白濁する。亜鉛の毒性は比較的少なく、基準値は白濁して不快感をあたえるので定められた。 |
亜鉛ダイカスト製品、写真凸版、乾電池、合金、めっき(防錆)、防食用陰極版 |
基33 | アルミニウム及びその化合物 | アルミニウムの量に関して、0.2mg/L以下 | 土壌などの天然由来による混入と、浄水処理過程で用いられる凝集剤由来の混入が主である。 | 金属、合金 | ||
基34 | 鉄及びその化合物 | 鉄の量に関して、0.3mg/L以下 | 地質に由来するものの他、鉱山廃水、工場排水等から環境水中に混入する。配水管に多く用いられている鋳鉄管や鋼管が劣化すると鉄分が水道水中に溶出し、赤褐色・黄褐色に着色して洗濯物や給水用具が着色する。また、臭気や苦味を与える。 嫌気性の地下水には第一鉄イオンが含まれている場合があり、曝気すると酸化されて第二鉄イオンとなり水を赤褐色に着色する。 |
金属、合金 | ||
基35 | 銅及びその化合物 | 銅の量に関して、1.0mg/L以下 | 鉱山廃水、工場排水、農薬の混入や貯水池の生物抑制処理に使用する薬剤等から環境水中に混入する。 水道水中には銅管や真鍮器具からの溶出が考えられ、銅特有の金属味や着色がある。特に、銅管を使用した給湯器は水温が高いために溶出量が多くなる。 |
電線、銅管、合金、伸銅品、貨幣、彫刻、厨房器具、農薬 | ||
味 | 基36 | ナトリウム及びその化合物 | ナトリウムの量に関して、200mg/L以下 | 全ての淡水中に存在し、工場排水、生活排水、海水等の混入により濃度が増加する。浄水中のナトリウムは原水由来のほかに、NaOHによるpH調整、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒処理、軟化処理等に由来するものもある。約200mg/L以上の濃度で味に影響を与える。 | 冷却材、ナトリウムランプ、光電管、合金、一般化学工業、水処理、食品工業 | |
色 | 基37 | マンガン及びその化合物 | マンガンの量に関して、0.05mg/L以下 | 環境水中にはまれに鉱山廃水や工場排水の影響で多く含まれることがあるが、主として地質に起因し、イオンやコロイドとして存在する。マンガンイオンは消毒用の塩素によって酸化されて二酸化マンガンとなり、水道水を黒く着色したり、味に影響を与える。 | 脱酸および添加材、被覆材料、乾電池、酸化剤、マッチ原料、漂白剤 | |
味覚 | 基38 | 塩化物イオン | 200mg/L以下 | 水道原水中の塩素イオンは主として天然由来であり、特に海岸地帯では海水の浸透、風送塩の影響で多くなることがある。その他には、生活排水、工場排水、屎尿等の混入汚染も考えられる。 浄水中では、凝集剤のポリ塩化アルミニウムや消毒剤である次亜塩素酸ナトリウム、塩素の使用により増加する。約200~300mg/L以上の濃度で塩味を呈する。 |
医薬品、食品工業、肥料、乾燥剤 | |
基39 | カルシウム、マグネシウム等(硬度) | 300mg/L以下 | 環境水中に主として地質由来により硬度成分として存在する。海水、温泉水、工場排水による混入も考えられる。浄水においてはモルタルライニング管、施設のコンクリート構造物あるいは水の石灰処理によって増加することがある。 硬度は水の味にも影響を与える。10~100mg/L程度がおいしい水とされており、中でも50mg/L前後が多くの人に好まれるとされている。ただし、カルシウムに比べてマグネシウムが多い水は苦味を感じるといわれている。 |
蓄電池、脱酸素剤、医薬品、苦土石灰 | ||
基40 | 蒸発残留物 | 500mg/L以下 | 水を105~110℃で蒸発乾固したときに残る物質。主な成分は、カルシウム、マグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウム等の塩類及び有機物。 蒸発残留物に含まれる無機塩類は一般に味に影響し、多い場合も極端に少ない場合も味をまずくする。厚労省はおいしい水の水質要件を蒸発残留物について30~200mg/Lとしている。 |
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発泡 | 基41 | 陰イオン界面活性剤 | 0.2mg/L以下 | 家庭雑排水が下水処理場を経由して、又は直接河川へ流入することによって広く水域環境中に存在し、河川の発泡を引き起こす。当初はABSが使用されていたが、生分解性の高いLAS等に切り替えられた。 | 合成洗剤 | |
かび臭 | 基42 | ジェオスミン | 0.00001mg/L以下 | カビ臭の原因物質であり、湖沼、貯水池及び汚濁の進行した流れの緩やかな河川で繁殖する藍藻類、付着性藍藻、放線菌等によって産生する。ジェオスミンは純カビ臭、2-メチルイソボルネオールは墨汁のような臭いを呈する。 | - | |
基43 | 2-メチルイソボルネオール | 0.00001mg/L以下 | ||||
発泡 | 基44 | 非イオン界面活性剤 | 0.02mg/L以下 | 家庭雑排水が下水処理場を経由して、又は直接河川へ流入することによって広く水域環境中に存在し、河川の発泡を引き起こす。皮膚障害、生態系毒性などの問題を有していた陰イオン界面活性剤に代わって用いられるようになった。 | 合成洗剤、シャンプー | |
臭気 | 基45 | フェノール類 | フェノールの量に換算して、0.005mg/L以下 | 自然水に含まれることはなく、化学工場や石炭ガスプラント等の排水に含まれている。また、アスファルト舗装の道路に流れた雨水等から検出されることがある。水道水中のフェノールは遊離塩素と反応するとクロロフェノールとなり、これは微量でも水に特有の臭味を与える。 | 防腐剤、消毒剤、医薬品、農薬 | |
味覚 | 基46 | 有機物(全有機炭素(TOC)の量) | 3mg/L以下 | 水中に存在する有機物に含まれる炭素の総量であり、有機性汚濁物質の指標。(Total Organic Carbon) 化学的酸素要求量(COD)、生物化学的酸素要求量(BOD)、全酸素要求量(TOD)とともに古くから用いられてきたが、TOCはあらゆる有機物に対して他の影響を受けることなくほぼ完全に反応(検出)することができる。 |
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基礎的性状 | 基47 | pH値 | 5.8以上8.6以下 | 一般に天然水のpH値は5.0~9.0の範囲にある。貯水池では、藻類が繁殖した場合に光合成により排出される炭酸ガスの影響を受けて強い塩基性となり、pH9~10に達することがある。 | - | |
基48 | 味 | 異常でないこと | 水に溶存する微生物学的、化学的、物理的成分によって感じ方が異なる。 | - | ||
基49 | 臭気 | 異常でないこと | 臭気物質は、カビ臭物質、フェノール類等の有機化合物が主であり、配管の接合剤による薬品臭等もある。 | - | ||
基50 | 色度 | 5度以下 | 色度の主な原因物質は次のとおり。 白:減圧発泡又は亜鉛、赤:鉄及びマンガン、黒:マンガン、青:銅または緑藻 |
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基51 | 濁度 | 2度以下 | 濁度の主な原因物質には、粘土性物質、溶存物質が化学変化して不溶性の粒子になったもの、プランクトン、微生物、有機性物質等がある。 | - |
水質管理目標設定項目(27項目)
評価値が暫定であったり検出レベルは高くないものの、水道水質管理上注意喚起すべき項目です。
水質管理目標設定項目
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No. | 項目 | 目標値 | 解説 | 用途 |
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目標1 | アンチモン及びその化合物 | アンチモンの量に関して、0.02mg/L以下 | 自然水中にはほとんど存在しないが、鉱山廃水、工場排水などから混入することがある。 | 活字、軸受、蓄電池用電極、半導体材料 |
目標2 | ウラン及びその化合物 | ウランの量に関して、0.002mg/L以下(暫定) | 淡水中のウランは地質及び海水に起因し、一般に表流水よりも地下水の濃度が高い。花崗岩帯に多く存在するといわれ、カルシウム系の鉱石であることから、硬度の高い地下水に高濃度のウランが検出される。ウランを含む鉱石からの溶出、核物質使用工場からの排出、石炭その他の燃料の燃焼、ウランを含む燐酸肥料の使用の結果として環境に放出される。 | 原子炉燃料、着色剤 |
目標3 | ニッケル及びその化合物 | ニッケルの量に関して、0.02mg/L以下 | ニッケルの化合物は不溶性のものが多いので、自然水中に存在することは稀であるが、鉱山廃水、工場排水、ニッケルめっきの溶出などから混入することがある。水道では、管材等の腐食による汚染がある。 | ステンレス鋼、合金、貨幣、バッテリー、殺菌剤 |
目標4 | 削除 | - | - | - |
目標5 | 1,2-ジクロロエタン | 0.004mg/L以下 | 地表水や地下水への混入は比較的少なく、地表水を汚染した場合は揮散により短期間で消失する。土壌に浸透すると吸着されにくく、生物分解も受けにくいため、地下水を汚染する可能性がある。 | 塩化ビニルモノマーの原料、樹脂原料、フィルム洗浄剤 |
目標6 | 削除 | - | - | - |
目標7 | 削除 | - | - | - |
目標8 | トルエン | 0.4mg/L以下 | 環境中への放出の大部分は大気であり、水系や土壌への放出は少ないと考えられている。土壌、汚泥、排水中では生物分解され、40日以内に完全に分解される。 | 染料、香料、有機顔料、ポリエウレタン |
目標9 | フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) | 0.08mg/L以下 | 水に対する溶解度が小さく、高沸点であるにもかかわらず樹脂から溶出する可能性がある。土壌や水中の微生物による生分解性は良好とされている。 | プラスチック添加剤(可塑剤) |
目標10 | 亜塩素酸 | 0.6mg/L以下 | 浄水過程において消毒剤や異臭味制御用の薬品として使われる二酸化塩素による消毒副生成物として生成される。 | - |
目標11 | 削除 | - | - | - |
目標12 | 二酸化塩素 | 0.6mg/L以下 | 浄水過程において二酸化塩素が酸化剤として使用される場合、亜塩素酸塩、塩素酸塩から二酸化塩素が合成され、単離されずにそのまま処理水中に投入される。 | 紙、パルプ、油脂類、デンプン等の漂白 |
目標13 | ジクロロアセトニトリル | 0.01mg/L以下(暫定) | 不安定で分解しやすく、水道水では加水分解し、一部ジクロロ酢酸になる。 | - |
目標14 | 抱水クロラール | 0.02mg/L以下(暫定) | 浄水過程において、塩素消毒の際に塩素とフミン酸・フルボ酸等の有機前駆物質が反応してできる副生成物の一つ。 | 鎮静剤、睡眠薬、農薬 |
目標15 | 農薬類【注)農薬類の対象農薬リスト参照】 | 検出値と目標値の比の和として、1以下 | - | - |
目標16 | 残留塩素 | 1mg/L以下 | 浄水過程の塩素書毒によって水道水中に残留している有効塩素。次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン等の遊離型有効塩素を遊離残留塩素、モノクロラミン、ジクロラミン等の結合型有効塩素を結合残留塩素という。 | - |
目標17 | カルシウム、マグネシウム等(硬度) | 10mg/L以上100mg/L以下 | 基39参照 | - |
目標18 | マンガン及びその化合物 | マンガンの量に関して、0.01mg/L以下 | 基37参照 | - |
目標19 | 遊離炭酸 | 20mg/L以下 | 水中に溶解している二酸化炭素。自然水中の遊離炭酸は、炭酸塩や有機物の分解で発生した二酸化炭素や空気中の二酸化炭素等の溶解に起因するが、地下水の場合は有機物の分解により多く存在する。 | - |
目標20 | 1,1,1-トリクロロエタン | 0.3mg/L以下 | 揮発性が強いため主として大気中で検出される。土壌中で移動性があり、地下水に容易に侵入し、ゆっくり加水分解される。 | 金属の洗浄、蒸気洗浄、ドライクリーニング溶剤 |
目標21 | メチル-t-ブチルエーテル | 0.02mg/L以下 | 地表水はガソリンの流出により汚染される可能性があるが、揮発性が高い為、揮発して消失する。地下水中では持続して残存する可能性がある。 | ガソリンの添加剤 |
目標22 | 有機物等 (過マンガン酸カリウム消費量) |
3mg/L以下 | 水中の有機物量を示す指標として古くから用いられている。 | - |
目標23 | 臭気強度(TON) | 3以下 | 臭気の強さを数値で表す指標。(TON(嗅覚閾希釈倍数):Threshold Odor Number) | - |
目標24 | 蒸発残留物 | 30mg/L以上200mg/L以下 | 基40参照 | - |
目標25 | 濁度 | 1度以下 | 基51参照 | - |
目標26 | pH値 | 7.5程度 | 基47参照 | - |
目標27 | 腐食性(ランゲリア指数) | -1程度以上とし、極力0に近づける | 水道管路等にスケール(カルシウム等による析出物)を析出するか、あるいは逆に管を腐食するかを示す指標。数値が正であればスケールを析出させ、負であれば腐食性を示す。 | - |
目標28 | 従属栄養細菌 | 1mlの検水で形成される集落数が2,000以下(暫定) | 生育に有機物を必要とする細菌であり、独立栄養細菌を除いた細菌。水道原水中においても従属栄養細菌は一般細菌よりも著しく多く存在する。よって、浄水プロセスでの細菌の挙動を評価するには菌数の観点から従属栄養細菌の方が一般細菌より優れている。また、塩素の消失や滞留に伴って従属栄養細菌が増加するので、それらが清浄な状態にあるかどうかをチェックする際にも有用である。 | - |
目標29 | 1,1-ジクロロエチレン | 0.1mg/L以下 | 地表水を汚染した場合は速やかに揮散する。土壌吸着性は低く、地下に浸透すると地下水を汚染する。 | 塩化ビニリデン樹脂の原料 |
目標30 | アルミニウム及びその化合物 | アルミニウムの量に関して、0.1mg/L以下 | 基33参照 | - |
目標31 | ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA) | ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の量の和として0.00005mg/L以下(暫定) | 難分解性、生物蓄積性、長距離移動性を有する有機フッ素化合物である。毒性の評価は定まっていないが、動物試験において発生毒性、慢性毒性等が確認されており、中長期的に体内に蓄積されることによる健康への影響が懸念されている。 PFOSは残留性有機汚染物質(POPs)に指定されており、国内では特定の用途を除き製造・輸入・使用等が禁止されている。 PFOAは、現在は国内での使用制限は無いが、主要フッ素化学メーカーによる自主的な使用廃止が行われている。国際がん研究機関(IARC)はPFOAを”発がん性のおそれがある物質”として分類している。また、欧州連合における化学物質の使用や制限に関するREACH規則の使用制限の対象となっており、今後は国内でも規制が進む可能性がある。 |
界面活性剤、泡消火剤成分、殺虫剤、めっき液、航空機作動油、撥水剤、フロアワックス |
農薬類(水質管理目標設定項目_目標15)の対象農薬リスト
検査項目リスト『水質管理目標設定項目(目標15_農薬類)』[pdf形式]をダウンロード
項目 | 目標値 (mg/L) | 項目 | 目標値 (mg/L) |
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1,3-ジクロロプロペン(D-D) 注1) | 0.05 | チオジカルブ | 0.08 |
2,2-DPA(ダラポン) | 0.08 | チオファネートメチル | 0.3 |
2,4-D(2,4-PA) | 0.02 | チオベンカルブ | 0.02 |
EPN 注2) | 0.004 | テフリルトリオン | 0.002 |
MCPA | 0.005 | テルブカルブ(MBPMC) | 0.02 |
アシュラム | 0.9 | トリクロピル | 0.006 |
アセフェート | 0.006 | トリクロルホン(DEP) | 0.005 |
アトラジン | 0.01 | トリシクラゾール | 0.1 |
アニロホス | 0.003 | トリフルラリン | 0.06 |
アミトラズ | 0.006 | ナプロパミド | 0.03 |
アラクロール | 0.03 | パラコート | 0.01 |
イソキサチオン 注2) | 0.005 | ピペロホス | 0.0009 |
イソフェンホス 注2) | 0.001 | ピラクロニル | 0.01 |
イソプロカルブ(MIPC) | 0.01 | ピラゾキシフェン | 0.004 |
イソプロチオラン(IPT) | 0.3 | ピラゾリネート(ピラゾレート) | 0.02 |
イプフェンカルバゾン | 0.002 | ピリダフェンチオン | 0.002 |
イプロベンホス(IBP) | 0.09 | ピリブチカルブ | 0.02 |
イミノクタジン | 0.006 | ピロキロン | 0.05 |
インダノファン | 0.009 | フィプロニル | 0.0005 |
エスプロカルブ | 0.03 | フェニトロチオン(MEP) 注2) | 0.01 |
エトフェンプロックス | 0.08 | フェノブカルブ(BPMC) | 0.03 |
エンドスルファン(ベンゾエピン) 注3) | 0.01 | フェリムゾン | 0.05 |
オキサジクロメホン | 0.02 | フェンチオン(MPP) 注10) | 0.006 |
オキシン銅(有機銅) | 0.03 | フェントエート(PAP) | 0.007 |
オリサストロビン 注4) | 0.1 | フェントラザミド | 0.01 |
カズサホス | 0.0006 | フサライド | 0.1 |
カフェンストロール | 0.008 | ブタクロール | 0.03 |
カルタップ 注5) | 0.08 | ブタミホス 注2) | 0.02 |
カルバリル(NAC) | 0.02 | ブプロフェジン | 0.02 |
カルボフラン | 0.0003 | フルアジナム | 0.03 |
キノクラミン(ACN) | 0.005 | プレチラクロール | 0.05 |
キャプタン | 0.3 | プロシミドン | 0.09 |
クミルロン | 0.03 | プロチオホス 注2) | 0.007 |
グリホサート 注6) | 2 | プロピコナゾール | 0.05 |
グルホシネート | 0.02 | プロピザミド | 0.05 |
クロメプロップ | 0.02 | プロベナゾール | 0.03 |
クロルニトロフェン(CNP) 注7) | 0.0001 | ブロモブチド | 0.1 |
クロルピリホス 注2) | 0.003 | ベノミル 注11) | 0.02 |
クロロタロニル(TPN) | 0.05 | ペンシクロン | 0.1 |
シアナジン | 0.001 | ベンゾビシクロン | 0.09 |
シアノホス(CYAP) | 0.003 | ベンゾフェナップ | 0.005 |
ジウロン(DCMU) | 0.02 | ベンタゾン | 0.2 |
ジクロベニル(DBN) | 0.03 | ペンディメタリン | 0.3 |
ジクロルボス(DDVP) | 0.008 | ベンフラカルブ | 0.02 |
ジクワット | 0.01 | ベンフルラリン(ベスロジン) | 0.01 |
ジスルホトン(エチルチオメトン) | 0.004 | ベンフレセート | 0.07 |
ジチオカルバメート系農薬注8) | 0.005 (二硫化炭素として) |
ホスチアゼート | 0.005 |
ジチオピル | 0.009 | マラチオン(マラソン) 注2) | 0.7 |
シハロホップブチル | 0.006 | メコプロップ(MCPP) | 0.05 |
シマジン(CAT) | 0.003 | メソミル | 0.03 |
ジメタメトリン | 0.02 | メタラキシル | 0.2 |
ジメトエート | 0.05 | メチダチオン(DMTP) 注2) | 0.004 |
シメトリン | 0.03 | メトミノストロビン | 0.04 |
ダイアジノン 注2) | 0.003 | メトリブジン | 0.03 |
ダイムロン | 0.8 | メフェナセット | 0.02 |
ダゾメット、メタム(カーバム) 及びメチルイソチオシアネート 注9) |
0.01 (メチルイソチオシアネートとして) |
メプロニル | 0.1 |
チアジニル | 0.1 | モリネート | 0.005 |
チウラム | 0.02 | (空白) | (空白) |
注1) 1,3-ジクロロプロペン(D-D)の濃度は、異性体であるシス-1,3-ジクロロプロペン及びトランス-1,3-ジクロロプロペンの濃度を合計して算出すること。
注2) 有機リン系農薬のうち、EPN、イソキサチオン、イソフェンホス、クロルピリホス、ダイアジノン、フェニトロチオン(MEP)、ブタミホス、プロチオホス、マラチオン(マラソン)及びメチダチオン(DMTP)の濃度については、それぞれのオキソン体の濃度も測定し、それぞれの原体の濃度と、そのオキソン体それぞれの濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること。
注3) エンドスルファン(ベンゾエピン)の濃度は、異性体であるα-エンドスルファン及びβ-エンドスルファンに加えて、代謝物であるエンドスルフェート(ベンゾエピンスルフェート)も測定し、α-エンドスルファン及びβ-エンドスルファンの濃度とエンドスルフェート(ベンゾエピンスルフェート)の濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること。
注4) オリサストロビンの濃度は、代謝物である(5Z)-オリサストロビンの濃度を測定し、原体の濃度と、その代謝物の濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること。
注5) カルタップの濃度は、ネライストキシンとして測定し、カルタップに換算して算出すること。
注6) グリホサートの濃度は、代謝物であるアミノメチルリン酸(AMPA)も測定し、原体の濃度とアミノメチルリン酸(AMPA)の濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること。
注7) クロルニトロフェン(CNP)の濃度は、アミノ体の濃度も測定し、原体の濃度とアミノ体の濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること。
注8) ジチオカルバメート系農薬の濃度は、ジネブ、ジラム、チウラム、プロピネブ、ポリカーバメート、マンゼブ(マンコゼブ)及びマンネブの濃度を二硫化炭素に換算して合計して算出すること。
注9) ダゾメット、メタム(カーバム)及びメチルイソチオシアネートの濃度は、メチルイソチオシアネートとして測定すること。
注10) フェンチオン(MPP)の濃度は、酸化物であるMPPスルホキシド、MPPスルホン、MPPオキソン、MPPオキソンスルホキシド及びMPPオキソンスルホンの濃度も測定し、フェンチオン(MPP)の原体の濃度と、その酸化物それぞれの濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること。
注11) ベノミルの濃度は、メチル-2-ベンツイミダゾールカルバメート(MBC)として測定し、ベノミルに換算して算出すること。
要検討項目
毒性評価が定まらない、浄水中の存在量が不明な項目です。情報、知見の収集がなされ、最新の知見により見直しが行われます。
要検討項目と目標値(46項目)
項目 | 目標値(mg/L) | 項目 | 目標値(mg/L) |
---|---|---|---|
銀及びその化合物 | - | フタル酸ブチルベンジル | 0.5 |
バリウム及びその化合物 | 0.7 | ミクロキスチン-LR | 0.0008(暫定) |
ビスマス及びその化合物 | - | 有機すず化合物 | 0.0006(暫定)(TBTO) |
モリブデン及びその化合物 | 0.07 | ブロモクロロ酢酸 | - |
アクリルアミド | 0.0005 | ブロモジクロロ酢酸 | - |
アクリル酸 | - | ジブロモクロロ酢酸 | - |
17-Β-エストラジオール | 0.00008(暫定) | ブロモ酢酸 | - |
エチニル-エストラジオール | 0.00002(暫定) | ジブロモ酢酸 | - |
エチレンジアミン四酢酸(EDTA) | 0.5 | トリブロモ酢酸 | - |
エピクロロヒドリン | 0.0004(暫定) | トリクロロアセトニトリル | - |
塩化ビニル | 0.002 | ブロモクロロアセトニトリル | - |
酢酸ビニル | - | ジブロモアセトニトリル | 0.06 |
2,4-トルエンジアミン | - | アセトアルデヒド | - |
2,6-トルエンジアミン | - | MX | 0.001 |
N,N-ジメチルアニリン | - | キシレン | 0.4 |
スチレン | 0.02 | 過塩素酸 | 0.025 |
ダイオキシン類 | 1pgTEQ/L(暫定) | N-ニトロソジメチルアミン(NDMA) | 0.0001 |
トリエチレンテトラミン | - | アニリン | 0.02 |
ノニルフェノール | 0.3(暫定) | キノリン | 0.0001 |
ビスフェノールA | 0.1(暫定) | 1,2,3-トリクロロベンゼン | 0.02 |
ヒドラジン | - | ニトリロ三酢酸(NTA) | 0.2 |
1,2-ブタジエン | - | ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS) | - |
1,3-ブタジエン | - | ||
フタル酸ジ(n-ブチル) | 0.01 |
水道施設の種類
水道の施設は概ね図のように分類されます。水道法適用の水道施設については、管理者は水道法に基づいて定期的な水質検査を行う義務があります。一方、水道法適用外の水道施設には水道法上の水質検査義務はありませんが、安心・安全の為、水道法に準じた水質検査を行うことをお勧めします。